13.口巻の塗り

前章で作った印籠芯は、口巻の塗りと並行して漆で仕上げていきます。 

下の写真の印籠芯は既に仕上がっていますが、

先ず出来上がった印籠芯を湯拭して、瀬〆漆で1回、更に生正味漆で4回吹き上げしたものが上です。 拭き仕上に関しては、後程胴の漆仕上げの章で説明いたしますが、口塗が完成するまでには仕上げておいてください。

それでは口塗の説明です。

上の写真は前章11.糸決めが終わった物です。 今回はここから始まります。 漆は、呂色(黒)又は塗立黒を使用します。

漆の説明から始めます。 下の写真ご覧ください。

 

最初に漆を濾し紙(吉野紙等)を使用して濾します。

 

濾し紙を適当な大きさに切断し、漆を入れて紙をネジって漆を絞り出し、ゴミ等を取り除きます。 漆を使用する前には毎回必ず行って下さい。

そして、

口部分に塗って行きます。 最初に際を決めてその後大面を塗って行きます。 漆は絶対に厚塗りしないで、縦横に漆刷毛で十分伸ばしてください。

上の写真が一回塗り乾いたものです。このまま研がずに、引き続き塗って行きます。

上の写真は、呂色を4回塗った物です。 ここから研ぎが始まります。

 

研ぎは、耐水ペーパーを使用して縦横に水研ぎしていきます。最初は、#800~#1000番位から始めて行きますが、下に巻いた絹糸を研ぎ出さないように注意してください。

 

上の写真は1回目の研ぎが終わった物です。 この上にさらに2・3回と、塗っては研ぎを繰り返して行きます。 使用するヤスリは順次目の細かな物に変えていきます。 最終は#2000番を使用します。

 

上記の上が更に目を細かくしたヤスリで仕上げたものですが、未だ光っている所が残っています。 更にその下の写真では、殆ど光っている所が無くなって、全体的に艶消し状態になっているのが判ると思います。 これは上の写真の物にさらに漆を塗って、最終#2000で研ぎ上げたものです。 これで黒色仕上の口塗完了です。この後胴塗りに移りますが、その前に竿全体を砥の粉で研いでおいてください。 

 

変わり塗、色塗り等の仕上げをするときは、ここから次のステップが始まります。 変わり塗研出しについては、私のDVD「和竿Ⅱ」で詳しく述べていますので、出来ましたら購入いただき、そちらを参照ください。