8.穂先の削り出し加工

ここでは穂先の加工について述べます。

下の写真は、和竿に使用する穂先の材料の内、主な物を並べてみました。 上からグラスファイバー・鰯鯨の髭・背美鯨の髭です。 もちろんこれ以外にも竹の穂先が有りますがここでは省略いたしました。 私は原則として竹の和竿の穂先材にガーボンは使用しません。 理由はあくまで個人的な理由ですが、竹の軟らかな反発とカーボンのピンピンとした強い反発が合わないと考えています。 従ってこの2つを組み合わせて竿にすると、竹の良さがカーボンによって殺されてしまうと考えているからです。

どの材料を使用するかは、対象魚・釣り方・予算等を考慮して決定してください。

ここでは鰯鯨の髭を使ったもので説明します。

ヤスリで削りまず先端部の調子を出します。 グラスファイバーの様に、既に購入時テーパーのついた穂先であってもそのまま使用するという事は有りません。 調子出しの削りは必ず行います。

 

調子は対象魚・釣り方・釣り人の好み等々様々な条件で変わってきますので、それに合わせ好みの調子にしてください。

先端部の調子が出たら、

 

穂先と穂持ちの接合部分を削って擦りあわせていきます。

 

鯨の場合は接続部分を写真の様に三角錐状に作ります。 まずはヤスリで型をととのえ、その後はヤスリを当て回転させながら、写真の様な綺麗な円錐形になるように成形します。 もちろん穂先を受ける側の竹の内側もこの形状に削っておきます。

 

鯨と竹のやり取りをしながらなじませて上の写真下の様にピッタリと入る様にします。

穂先と竹を接着しますが、特別な理由が無い限り接着は木工用ボンドを使用してください。 エポキシ等で接着すると後程穂先が折れ修理等が必要な場合、穂先を取り換えられなくなる事態が発生しますので、接着は木工用白ボンド使用です。 

 

接着剤の乾きを待って、凧糸を外します。

 

次に先端部と接続部分の間を削り、全体の調子を出して完成です。

因みにこの穂先はカワハギ用の物です。

 

そして下の写真、

これは約束事ですが、接続部分の竹の強度を上げるために、更には接続位置が後からわかる様、上の写真の様に接続部分に必ずガイドが来るように配置します。

 

注)穂先部分に絹糸を総巻して漆を塗ると、全体が黒くなりどこが境目か分からなくなります。 従って漆を塗る前に必ず、先端から接続部分までの長さを測っておいて、記録しておくと後から便利です。